■ beBule blog for 3D Audio

2015/12/04

・beBule blog for 3D Audioスタートのお知らせ

皆さま、いつもお世話になっています。beBlue AOYAMAの染谷でございます。気がつけば12月ですね。大分寒くなって来ましたが、皆さまお元気にされていますでしょうか?

おかげさまで、beBlue AOYAMAもオープンから1年が経ちました。皆さまのご愛顧とご協力に心からの感謝を申し上げます。

実感としては“あっと言う間に1年が過ぎてしまった感じ”ですが、この1年でDolby Atmosを中心に様々な3D Audioに関する技術経験と蓄積が出来たと思います。特にDolby Atmosに関しては、スタジオの核となるフォーマットですので多くの技術経験をしました。

とは言え、結果的に日本国内のDolby Atmos採用映画作品としては、押井監督の「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」とチャウ・シンチー監督の「西遊記〜はじまりのはじまり〜」(日本語吹き替え版)の2作品となり、残念なことに純粋に国内で音響制作を行なったのは「パトレイバー」のみとなりました。

海外作品の多くがDolby Atmosで制作されている昨今、皆さんの中には国内作品に対する期待感があったと思いますが、結果的には“期待はずれ感”に変わってしまった方も多いかと思います。

また、私自身が非常に残念に思うのは、Dolby Atmosで制作されている海外作品ですら、首都圏の劇場では、5.1chまたは7.1chでの公開しかして頂けない作品も多くありました(ミニオンズやアントマンなど)。

私はこのような状況を見て、数ヶ月前から私が日々経験している「Dolby Atmosや3D Audio の音響制作状況」を皆さんにお伝えしたいと考えておりましたが、スタジオ立ち上げなどの諸事情で、その余裕も無く過ごしておりました。

この度、スタジオオープンからようやく1年が経ち、beBlueのBlogを通して「Dolby Atmos の音響制作状況」お伝え出来るチャンスを頂きましたので、皆さんと多くのお話が出来れば幸いです。

硬いご挨拶になってしまいましたが、このBlogのテーマは「事実を重くなく、軽くなく」です。私見も多く、読みにくい部分もあるかと思いますが、どうかお付き合いをお願いします。皆さんのご意見もどんどんお待ちしておりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

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・今回のトピック「Dolby Atmos作品は創られているのか?」

さて、第1回目の記事となります今回は、「Dolby Atmos作品は創られているのか?」についてお話をしたいと思います。

正直に申し上げて、

 

Dolby Atmosの国内作品は創られています。

 

これまでの私の実経験でお話をさせて頂きますが、現在、国内のDolby Atmos作品は、実験的な作品やデモ的な作品が多く、言い換えれば、現状、様々な試みが繰り返し行なわれているといった状況です。また、ジャンルも様々で、実写作品やCG作品を始めとして、音楽作品に至まで多種多様です。

 

私が特に注目しているのは、音楽の3D(高さ)表現です。

 

私がご紹介出来ます範囲で言えば、Dolby社さんの「Dolby Atmos Demo DISC(BD) SEPT2015」に収録されています「Def Tech」の”Marathon”というMusic Videoは、EDM、Rapテイストを取り入れたリズミックな楽曲。今回のDolby Atmos Mixは、とても効果的に3Dの音楽表現が出来た作品だと思います。音像の移動感はもちろんですが、Stereo 2Mixでは表現出来なかった「心地良い包まれ感」と「独特の没入感」を表現しています。また、Stereo 2Mixでは「埋もれて聴こえにくかった音」が明瞭に音楽表現されています。

さらに今年のAES名古屋コンファレンスに参加された方にはお聴き頂けたかもしれませんが、クラシックのみならず、ロックやポップスでのDolby Atmos Mixの取り組みが多くなっています。


また、Live作品でも大きな効果が得られます。

 

音楽のジャンルに関わらず、Liveでの音楽表現、またLive会場の空間表現の優位性は素晴らしいです。収録時のAmb Micの数や収録方法にもよりますが、会場の空気感を表現するには最適です。

この優位性は音楽のみならず、ミュージカルや演劇、イベントにも素晴らしい効果を発揮すると思います。

ということで、今回は大きな3つのポイントについて簡単にご説明しましたが、次回はもう少し深い部分をお話できればと思います。

 

  • 今回の3つのポイント

・Dolby Atmosの国内作品は創られています。

・私が特に注目しているのは、音楽の3D(高さ)表現です。

・また、Live作品でも大きな効果が得られます。

それでは、次回もお読み頂ければ幸いです。

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No Mix, No Life. No Pain, No Growth.

Sound Designer / Re-Recording Mixer

Kazutaka Someya(KT-KAZU)

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